セッキーのADHD的お買い物遍歴

- 現実と理想の合間で悩む現在進行形のセッキー -

関口 悟

 今年(2020年)の春、今の団地に引っ越してからの買い物、特に私のわがままを通して買い換えた家電品について書いてみます。

 結論を先に言えば、私自身のADHD(注意欠陥多動性障害)によるこだわりで、保佐人さんに精神と金銭的な負担を強いた気がしています。

 ADHD者の中でも、私の場合は下記に述べる特性があります。

1.「こうでなければいけない」という取り決め(ルーティーン)が多い。
2.十分に納得してからでないと動けない。
3.本筋と関係ない枝葉の部分にこだわってしまう。

 上に挙げた私のこの特性のために、ADHD者の脳の報酬系が欲しがる快感と言える「他者の反対と抵抗という困難を乗り越えて、自分の欲しかったものが手に入った」という結果が見えると、脳内のドーパミンが分泌されてイライラや衝動を抑えられるため、買い物について自分のこだわりを通す傾向があります。ADHDを持つ私の脳内の報酬系がドーパミンの分泌による快感を得るための、自分のこだわりを通す言動のために保佐人さんは相当苦労されていることは分かっています。それでも私は自分のこだわりを捨てきれませんでした。

 液晶を割って使えなくなったパナソニック製の4K対応液晶テレビ「VIERA TH-49CX800」の買い換えは、保佐人さんから「予算は、新型コロナウイルス特別給付金の10万円以内で」という条件がありながら、私自身のこだわりを捨てられず、型落ちのアウトレット品ではありますが、約16万円するLGエレクトロニクス社製の55型4K有機ELテレビ「OLED55B9PJA」を買いました。

細かい明暗の表現力などの制御が難しい液晶パネルとは、原理的に画質が違う、画素ごとの細かい発光具合の制御が出来る自発光方式の有機ELパネルと、AI(人工知能)で地デジ・BS・CS・4K放送・ネット動画・PCの画面・カメラの静止画や動画といった、様々な映像を有機ELパネルに最適化して表示する映像処理プロセッサ、従来の液晶テレビに比べて黒潰れや白飛びのない、より広い明るさの幅を表現できる表示技術HDR(ハイダイナミックレンジ)規格に準拠し、前後だけでなく、上下方向のサラウンドを実現するドルビーアトモス®を採用した高画質・高音質モデルです。

LG社独自のWebOSで動き、YouTubeやNETFLIX、Amazon Prime Video、Hulu、AppleTVといった大手の動画配信アプリが動きます。それだけでなく「ホームダッシュボード」で対応するネット家電を制御したり、他社のスマートテレビ(インターネットに接続されたテレビとPCのハイブリッド機器)で動くアプリの多くが動きます。

付属のリモコンがBluetooth接続で、テレビのメニュー表示や設定画面もWebOS独特なので、他の購入者の評価を見るとリモコン操作に好き嫌いはありますが、リモコンを動かしてレーザーポインターでパソコンのカーソルを動かすイメージで操作できます。リモコンにはマイクが付いているので、Googleアシスタントを使った音声認識による操作もできます。

しかも、テレビのスピーカーから基準音が出て、それをリモコンのマイクで拾うことで、テレビが置いてある部屋の広さや形状、音の反射率を測定して、そのデータをもとにAIで音質を最適化するために、内蔵スピーカーは画面下の2つだけなのに、前に使っていたパナソニックの4K対応液晶テレビよりかなり音がいいのです。映画や音楽、スポーツ番組の迫力が全く違います。

 そして、引っ越した際に老朽化が分かって、修理が出来ず使用を止められた三洋電機製のドラム式洗濯乾燥機「AQUA AWD-AQ4000」の買い換えも、型落ちの機種ですが、家電量販店のネット通販で約21万円する日立グローバルライフソリューションズ(日立グループの家電部門)製のドラム式洗濯乾燥機「ヒートリサイクル風アイロン ビッグドラム BD-SX110EL」(洗濯11kg、乾燥6kg)という、ほぼ最上位機種と言えるものを買いました。この機種の上は「ヒートリサイクル風アイロン ビッグドラム BD-NX120EL」(洗濯12kg、乾燥6kg)という、文字通りの日立の最上位機種です。ちなみに今年9月に出た後継機種はいずれも40万円近くします。

パナソニックや日立といったドラム式洗濯乾燥機で高いシェアを持ち、購入者の評価の高いメーカーはかなり強気な値付けをしているようです。

 今回購入した、日立のドラム式洗濯乾燥機は、洗剤と柔軟剤の詰め替え用パックが丸ごと入るタンクを持ち、AIで洗濯物の量や汚れ具合に応じて、適切な量の洗剤と柔軟剤を自動投入する機能があります。それ以外にも、AIで洗濯時間やすすぎ回数の延長や短縮をする機能があります。

さらに、専用のスマホアプリを自宅の無線LANに繋げば、離れた場所や外出先からスマホで動作状況の確認や洗濯乾燥機の操作ができます。洗濯開始時間や終了時間の予約も出来ます。

 「それほど収入のない君のひとり暮らしにそこまで必要なのか」という異論はもちろん出ました。他のヘルパーさんから「前のテレビと同等の10万円以下の安い液晶テレビと、4~5万円程度の洗濯容量5kgの乾燥機能なしの縦型洗濯機で十分ではないか」とも言われました。

確かにその通りだったかもしれません。自分の身の丈に合った安い商品を買って、余ったお金は、保佐人さんの私に関する仕事への支払いと、私に何かあったときのための貯金に回すべきなのですから。それが分かっていても譲れないところがあったのです。一度でも有機ELテレビの高画質を見てしまうと、液晶テレビには戻れなくなります。

 洗濯機も前の団地で10年以上、三洋電機製のドラム式洗濯乾燥機を使ってきたので、部屋干しをする場所もありませんし、前の団地のようにベランダに干すわけにもいかなくなりました。保佐人さんと相談して、都住宅供給公社に申し入れて浴室の換気扇を衣類乾燥機兼用に付け替えようとも考えましたが、付け替えの初期費用や年間の電気代(約10万円)を考えると断念せざるを得ませんでした。

私の選択はかなりわがままだと分かっていましたが、ここは私が譲れない部分でしたので、保佐人さんとはかなり感情的なやり取りになりました。正直、保佐人さんとのお別れも覚悟しました。

最終的に保佐人さんと「今後も質素な生活を心がけること」という約束をして、有機ELテレビとドラム式洗濯乾燥機の購入の許可が下りました。これからも来年2月以降までは大きな買い物や、やりたいことを我慢する期間だと思っています。

実は私が使っていたHP(ヒューレット・パッカード)製のミニタワー型パソコンが故障して修理不能と診断され、STEPからHP製のノートパソコンを借りています。正直、今年中にはパソコンを買い換えたかったのですが、有機ELテレビとドラム式洗濯乾燥機合わせて40万円近くという、保佐人さんの想定外の高額の買い物の後なので、パソコンの買い換えは来年2月以降になると思います。保佐人さんは自分が管理している私の銀行口座の残高が10万円を切ることをとても恐れています。
 今でも、ネットで送られるサプリメントのダイレクトメールを見たとき、時々物欲が湧いて、つい定期購入契約を結んでしまうので、保佐人さんにその契約を解消してもらうことがあります。自分自身を律して物欲に負けないようにしないといけないと思っています。もう、衝動買いで購入した商品代金の支払いに追われる苦しい思いはできないのですから。